今年からセンター試験に代わり、共通テストが実施されることになりました。これまでに何回か試行テストが行われていたので、そちらを見ていましたが、恐らく、実際の共通テストはちょっと違うだろうと思っていました。
英語の試行テストの問題は、センター試験のそれとほとんど同じでしたが、手抜きが感じられたからです。どう考えても優秀な先生が全力で作った問題には見えません。本番では、どんなものになるだろうかと思っていました。
ざっと見たところ、文法問題は出題されなくなっていました。これは結構なことです。前から文法問題は必要がないと思っていたからです。しかし、きちんとした英語が使えるようになっているかどうかは、チェックの必要があります。これは2次試験でしっかり見てもらった方がいいと思います。
最大の変化は、発音の問題が消えたことです。これについては危惧する点もありますが、歓迎すべき点もあり、半々です。危惧する点は、発音の問題がなくなったことで、発音の学習を怠るかもしれないという点です。
歓迎すべき点は、テストの精度が上がったことです。元々、筆記式の発音の問題では、正しい発音で英語が話せるかどうかテストできないため、この様な問題を出題することで、テストの精度が低下していました。そう言うテストの精度を低下させるだけの問題がなくなった分、英語力が正確に測定できるようになったかもしれません。
しかし、発音の学習はしっかりやってもらわなくてはいけません。本来は、共通テストで、受験者一人一人の発音を録音して、それを英語音声学者に分析してもらって、採点するのが筋です。
問題は、日本全国の大学受験生の発音を分析できるだけの人数の英語音声学者がいないことです。しかし、もしかしたら、機械的に採点する方法が開発できるかもしれません。そうすれば、この問題は解決しますが・・・。
それから、録音をどうするかという問題があります。リスニング・テストの問題で使っているプレーヤーの様に個別に録音機を配布する必要があるかもしれません。プレーヤーよりもコストがかかりそうです。マイクも必要だからです。
また、どこで録音するのかと言う問題もあります。実験音声学の研究室の様な防音室が理想的なのですが、海外では、視聴覚教室のブース式の部屋を使っています。日本全国の受験生を視聴覚教室に入れるのは、ちょっと大変かもしれません。
しかし、国が実用英語を真剣に目指しているのなら、そう言う部屋を十分な数だけ用意して、受験生一人一人に対して、英語の発音の録音を実行してもいいのではないかと思います。時間がかかるので、他のテストとは、別の日にやってもいいですしね。
今回の共通テストのリーディングの問題で気がついたのは、問題に使われた英語が文章的に幼稚で、つたないものだったことです。これは、思考力を試すために、問題を工夫する必要が出た結果、出題者が自分で英語を書いたのが原因だと思われます。
出題者の英語力のレベルがこれで分かってしまい、ちょっと笑えました。ちょっとではないかもしれません(笑)。今日、授業で、「この英語を共通テストレベルの英語で言うと、こうなります。」等という説明をして生徒と一緒に大笑いしていました。
このあたり、今後は、もう少し改善しないといけないだろうと思います。たかがテストとはいえ、生徒にはもう少しましな英語を読ませたいものです。